1988年4月、日生劇場で開幕した日本初演では、異例となる5カ月のロングランを敢行。これまで見たことのない絢爛豪華、ドラマティックにして圧倒的な迫力を放つ舞台は、瞬く間に熱狂的な支持を受け、「既存の劇場における初のロングラン公演」は満員のお客様によって祝福されることとなりました。
それは同時に、『オペラ座の怪人』が日本演劇界が抱える構造的な問題点に風穴を開けた瞬間でもありました。
そして、東京初演以来、大阪、名古屋と立て続けにロングランを成功させた『オペラ座の怪人』は、「劇場があればもっと長く公演を続けられる」と、四季を専用劇場の時代へと導いていきます。
93年「JRシアター」(札幌)、95年「MBS劇場」(大阪)、96年「福岡シティ劇場」、97年「名古屋ミュージカル劇場」と、日本各地に次々と建設された劇団四季専用劇場。
『オペラ座の怪人』は、これらすべての劇場でこけら落とし公演を務め、東京以外の大都市でもロングランが可能なことを立証すると、2001年には、それまで数日程度の公演が限界であった中核都市(仙台、広島、静岡)でのロングランにも挑戦します。
それは"文化の東京一極集中の是正"という劇団四季の理想を実現する試みでもありました。
さらに、「世界的傑作をこの地で」という地域の温かい支援によって、前例のない公共ホールの長期使用も認められます。
こうして「大都市圏以外でのロングラン」を成功させた『オペラ座の怪人』。現在、『ライオンキング』や『ウィキッド』などのメガ・ミュージカルを全国各地で上演できるのも、この舞台が切り開いた大地があってこそなのです。
2018年3月、国内では『キャッツ』、『ライオンキング』の2作品しか達成していない上演7000回に到達。
2020年10月には、劇団四季の新拠点・JR東日本四季劇場[秋](東京・竹芝)のオープニングを飾るなど、『オペラ座の怪人』は常に劇団四季の理想とともに歩んできました。
オペラ座の地下で繰り広げられる壮絶な愛憎劇は、これからも私たちに演劇界の希望と未来を映し出してくれることでしょう。
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