『ライオンキング』の魅力は音楽とビジュアルだけにあらず。その底流には、「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」という深遠かつ普遍のテーマが雄大に流れを湛えています。自然の摂理、生命の営み、その中で父から子へと受け継がれていく意志。
季節は巡っても、決して絶えることのない普遍のテーマは、戯曲『ハムレット』や能・歌舞伎の『連獅子』といった古典作品にも通底し、あらゆる世代に訴えかける力を持っています。
そして、このテーマの象徴である“サークル”は、舞台の様々なところに姿を現します。
太陽、ムファサのマスク、池、レイヨウの車輪――。
父の死に苦悩しながらも、試練を乗り越えて王となる宿命に生きるシンバを見守る“サークル”たち。ご観劇の際には、ぜひ舞台ですべての“サークル”を見つけ出してみてください。
シンバの愉快な仲間、ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァ。
等身大でありながら心強い友となる彼らの話す言葉は、上演する都市の“ご当地文化”に寄り添ったものとなっています。
これは初演時から一貫した信念であり、ブロードウェイ公演においてはブルックリン訛りの英語が用いられ、地元の人々に親しまれてきました。
この“ご当地演出”は、日本でももちろん健在。東京公演では「江戸弁と女言葉」、札幌公演では「北海道弁」、名古屋公演では「名古屋弁」、大阪公演では「大阪弁」と、それぞれの土地に合った言葉が台本の中に取り入れられてきました。
また再演の際には、その公演地の出身俳優・スタッフが集まり、日頃から使われている言葉や、より馴染みのある言い回しに、台詞をブラッシュアップしていくことも。
公演地ごとにその土地の文化を取り入れ新しい『ライオンキング』が生まれていくことも、この舞台がいつまでも愛され続ける大きな魅力のひとつです。
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