左が内田洋一さん、右が聞き手の安倍寧
安倍 対談後編では、浅利慶太の父、鶴雄の話を中心に伺います。浅利鶴雄という人は、その功績にも係わらず、日本演劇史の中でまともに論じられたことがないと思うのですが、内田さんが関心を抱かれたのはなぜですか?
内田 築地小劇場の創立メンバーの名前を挙げると、小山内薫など有名な人がずらっといる中に、浅利鶴雄という名が必ず出てきます。でも何者かよくわからない、わからないものは調べてみたいというのが始まりでした。
安倍 資料はありましたか?
内田 あまりないですね。国会図書館に籠って細かい断片的な情報を拾い集め、ピンセットでつまんで糊で貼り合わせるような作業でした。それでわかったのは、鶴雄さんは言わばバイプレーヤーで、大きなことをしようとしてもできなかった人だということです。
安倍 演劇を作っていく上での脇役という意味ですね。