かつてシャンソンは、日本においても音楽界の一隅にしっかり根を下ろしたあなどりがたいジャンルであった。1950年代からせいぜい80年代にかけてのことか。越路吹雪、岸洋子、高英男、芦野宏などリーダー格のスターも存在した。今も現役の美輪明宏は当時から異色のエンターテイナーぶりを発揮していた。
しかし、現状はどうだろう。美輪のほかにシャンソン系の歌手というとクミコぐらいか。
しかし、この状況は日本だけのものではない。ご本家フランスでも同様だ。イヴ・モンタン、シャルル・トレネ、シャルル・アズナヴール、エディット・ピアフ、ジュリエット・グレコらの系譜に連なる歌手はまったく見当たらない。