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「ラ・アルプ」8月号　ミュージカル千夜一夜［第124夜］『結婚物語』で浅利演出が目論んだ日本的工夫とは？

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第124夜

四季ハープ会員限定

『結婚物語』で浅利演出が目論んだ
日本的工夫とは？

文＝安倍寧 text by Yasushi Abe

インターネットのオークションで越路吹雪関連のパンフレット20冊をまとめて落札、入手した。日生劇場でのリサイタル、主演ミュージカルに係わるものばかりである。熱心な越路ファンが日生に通い詰め買い求め持ち続けていたものだろう。地方公演のものもあるので、東京以外の催しにも出掛けるほど熱烈なファンだった人かもしれない。あるいは逆に東京以外の土地の在住者でせっせと東京に出向いてきていたのか。性別は？年齢は？劇場通いに連れはいたのか？パンフレットを眺めていると所持者のイメージは広がるばかり！

値段に触れるのは品がないが、参考までに。送料を含めて5000円を切った。私はお買い得だったと思っている。一世を風靡（ふうび）した大スター越路のパンフならもう少し値が張ってもいいかも――。それほどべら棒な値段でなかったのはラッキーだった反面、越路という存在が忘れられかけているという現状の反映かと思うと、いささか淋しくなくもない。

浅利慶太の手掛けた初ブロードウェイ作品、越路、平幹二朗主演『結婚物語 I Do! I Do!―結婚についてのミュージカル―』（1969年1月）のパンフも含まれていた。表紙は越路、平の似顔絵である。サインはh.noguchiと読める。映画、ミュージカル、ジャズ評論家の草分けでイラストレーションもよくした野口久光氏の手になる。