私は、看護師のライセンスをとって間もなくの頃、「ナイチンゲール書簡集」という1冊の本と出逢いました。ナイチンゲールが晩年になって1年に1回ほど、弟子たちに向けて長い書簡を書き送っていたのですが、それはその書簡の翻訳本でした。「看護の仕事は、快活な、幸福な、希望にみちた精神の仕事です。犠牲を払っているなどとは決して考えない、熱心な、明るい、活発な女性こそ、本当の看護師と言えるのです」というナイチンゲールの言葉に、私は初めてナイチンゲールと向き合った気がしました。以来、実像のナイチンゲールを求めて私のナイチンゲール思想研究が始まりました。以来、半世紀が過ぎました。