日本全国の子どもたちに演劇の感動を届けたいという想いにより、2008年から始まった「こころの劇場」プロジェクト。
今年の8月下旬、『エルコスの祈り』カンパニーが訪れた北海道・利尻島での公演、そして地元の方々との交流の様子をお届けします。
2023年9月から日本全国を巡演し、今年8月に千秋楽を迎えたファミリーミュージカル『エルコスの祈り』。公演も残りわずかに迫る8月下旬、カンパニーは北海道・利尻島を訪問しました。
全国各地の子どもたちを劇場に無料招待し、演劇の感動を届けたいという想いが込められた「こころの劇場」。劇団四季のスタッフ、キャストは「北は北海道・利尻島から南は沖縄県・石垣島まで」を合言葉に、毎年子どもたちに舞台を届けることを心から楽しみにしています。今年は『エルコスの祈り』のほかにも『ガンバの大冒険』『ふたりのロッテ』を全国各地で上演し、合計約50万人の児童を招待する予定です。
『エルコスの祈り』カンパニーが訪れた日本最北端の離島・利尻島での公演の始まりは2004年の『桃次郎の冒険』から。劇団四季の舞台を島の子どもたちに観せたいという当時の利尻町長の強い思いにより実現しました。たくさんの地元の方々と協力しながら続けてきた公演は、2008年からは「こころの劇場」として上演されるようになり、今年で16回目の公演となります。
8月20日(火)、カンパニーは気持ち良い青空のもとフェリーで稚内を出発し、利尻島に到着。利尻島の鴛泊(おしどまり)港では、利尻町役場の皆様が横断幕を掲げて迎え入れてくださいました。俳優たちも船上から手を振って歓迎に応えます。船を降りた後は、まず夕焼けに染まる利尻富士を背景に記念撮影。温かな交流のひと時となりました。
21日(水)には、カンパニーを代表して俳優の久居史子、秋山一哉、名児耶洋の3人が礼文町・今野直樹副町長、竹中俊一教育長を訪問。同じく俳優の藤原加奈子、松井龍太郎が、利尻富士町・島谷一郎副町長、吉田秀昭教育長、利尻町・澤谷敬副町長、宮道信之教育長を訪問いたしました。俳優たちが訪れた観光スポットの話、豊かな自然やおいしい食べ物の話など、魅力いっぱいの島の話題で和やかな雰囲気に。劇団四季のファミリーミュージカルを子どもたちが毎年楽しみにしているという話を伺い、俳優たちも一層気合が入ります。
翌日22日(木)、会場である「利尻町交流促進施設どんと」では朝から舞台仕込みが始まりました。夕方からは俳優も含め、本番に向けたリハーサルを実施。子どもたちに舞台の感動を届けるために、準備を万全に整えました。
公演当日である23日(金)。利尻町、利尻富士町、そして利尻島の北西約20キロメートルに浮かぶ礼文島より、小学校1年生から高校3年生までの児童・生徒たちが来場。礼文島の子どもたちを乗せたフェリーも無事到着し、予定されていたすべての町の学校を迎えることができました。
子どもたちは開演前から熱心にリーフレットを読み込み、期待に胸を躍らせている様子。コミカルなシーンも多い本作、幕が上がると次第に客席は笑い声で包まれます。上演中には舞台を食い入るように見つめ、作品の世界に惹(ひ)きこまれている様子や、幕間には劇中の台詞を真似したりする児童の姿も。終演後には「楽しかったです!」といった声がロビーで聞こえてくるなど、心から作品を楽しんでいる様子が伝わる公演となりました。
公演をご覧になった利尻町・宮道信之教育長からは「今日の公演を子どもたちも先生方も、とても楽しみにしていました。いつも劇団四季の舞台からは大きなメッセージとパワーをもらっています。子どもたちも今日の舞台を通じて、一人ひとりが何かしらのメッセージを受け取ってくれていると思います」とお言葉をいただきました。
ご支援してくださる皆様と手を携えながら、劇団四季はこれからも全国各地の子どもたちへ、観劇の輪を広げてまいります。