9月11日(水)に名古屋四季劇場にて開幕する劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』。開幕まで約1ヵ月に迫った8月上旬、横浜・あざみ野の四季芸術センターでは出演候補者が一堂に会した顔合わせが行われ、稽古が始まりました。
2015年公開の細田守監督による長編アニメーション映画「バケモノの子」を原作にした本作。乱暴者だが心に強い信念を持つ"バケモノ"熊徹と、最愛の母を亡くした孤独な人間の少年・蓮/九太が出会い、師弟という関係から、やがて親子の絆(きずな)で強く結ばれていく姿を、力強いメッセージが込められた珠玉のナンバーとともに描き出します。「劇団四季史上、最大規模の新作オリジナルミュージカル」として2022年4月に東京で初演の幕が開き、23年12月からは大阪で上演。約37万8000人のお客様にご来場いただきました。そして、今回の名古屋公演をもって、3都市を巡る本作の"初演シリーズ"はフィナーレへ――。約2年4ヵ月の集大成となる名古屋公演に向けて、顔合わせと読み合わせ稽古が行われました。
演出を務める青木豪氏は「東京と大阪を通じて、この作品を作り上げてきました。名古屋でさらにたくさんのお客様にお届けして、手作りの良さを日々粛々と伝えられたらと思います。子役を演じた子どもたちが語った夢のように、20年後は彼らが青年の役として舞台に立っているかもしれない。そんな未来を楽しく思い描きながら、素敵な名古屋公演にしていきましょう」と言葉を送り、俳優たちも笑顔でうなずきます。
物語の幕開けを告げる軽快なオーバーチュア「祝祭」とともに稽古がスタートすると、真夏の稽古場は一瞬にしてバケモノたちが暮らす、活気あふれる渋天街の世界に。大人キャスト全員が出演経験者ということもあり、稽古初日ながら和やかなムードで進められ、1幕の蓮がバケモノたちに掃除や料理を教わるナンバー「修行」やセリフの掛け合いが見どころの場面では、自然と笑いが起こります。一転、成長した蓮、そして熊徹のライバルである猪王山の息子・一郎彦が「自分は何者なのか」と苦悩する2幕では、感情を爆発させるかのような気迫がこもった芝居が繰り広げられ、目に涙を浮かべる俳優も。熊徹と蓮が過ごした8年間を彷彿(ほうふつ)とさせる、濃密で熱気あふれる稽古となりました。
読み合わせを終え、さらなるブラッシュアップのため、セリフのニュアンスやタイミングなどを細かく確認していく青木氏。俳優たちはアドバイスの一つひとつを、真剣な表情で受け止めます。人間が持つ心の闇と輝き、子どもの成長を喜ぶ親心、血のつながりを超えた親子の絆が胸を打つ『バケモノの子』名古屋公演は2025年2月9日までの期間限定。胸が熱くなること間違いなしの大迫力のクライマックスをお見逃しなく!