6月22日(木)に自由劇場(東京・竹芝)で開幕する『ジーザス・クライスト=スーパースター』[ジャポネスク・バージョン]。
4月から本格始動した稽古場は、台本と譜面に向き合う音楽稽古や、入念なステージングを経て、シーンを区切って行う小返し稽古の段階へ。とある日、冒頭の「序曲」から稽古が進められました。
稽古場に大きな傾斜面を形作る、純白の大八車5台。アンドリュー・ロイド=ウェバーによる「序曲」が流れ出すと、斜面の頂上から静かに姿を現す、イスカリオテのユダ――続いて何者かに追い立てられるように、群衆たちが駆け下りていきます。オーケストラに和楽器が加わり、躍動するリズムとともに、次第にひとつの塊となって動き出す群衆。彼らはやがてひとつの光明――ジーザス・クライストを見出します。
ロックの旋律、群衆の熱狂、ユダの苦悩と、秘められたジーザスの胸中。これらを日本的様式美のうちに見せる、研ぎ澄まされた冒頭シーン。物語の主軸となる三者、ジーザス、ユダ、マグダラのマリアと並び、重要な存在である「群衆」のうねりを、観客へ強烈に印象付ける場面でもあります。
「それは渇望なのか、何者かから逃げているところなのか。各自で考えてくれているバックボーンが見えるように」「(振付のなかで)手の行き先と、求めているものがはっきりわかると良いです。色々な形の人がいますが、手先を意識してみて」
群衆を演じるアンサンブルキャストへ、レジデント・ディレクターを務める荒木美保が声をかけ、さらに同じシーンが繰り返されます。
「序曲、だいぶ見えてきました」「力が入り過ぎないようにだけ気をつけて。心の振り幅はいっぱいに動かしつつ、むしろ(身体の)一番外側の力を抜くことで、中心に抱える思いが明確になると思います」
一方、稽古の場面が移るたびに、5台の大八車を慎重かつ力強く操り、イスラエルの荒野や神殿を描き出すのは、白装束に身を包んだ「白子」たち。劇団研究所を卒業したばかりの若手キャストが担います。
劇団四季創立70周年の節目に贈る、伝統と革新の舞台。キャリアを積んだメンバーも、若いメンバーも一丸となり、次の歴史を刻む稽古場に身を置き、真摯に取り組んでいます。
東京・自由劇場での開幕は6月22日(木)。どうぞお楽しみに。
『ジーザス・クライスト=スーパースター』[ジャポネスク・バージョン]につきまして、劇団四季取り扱い分の前売りチケットは完売いたしました。ただし、劇団四季が提供する「チケット出品サービス」により、今後、予約済みのチケットが出品される場合がございます。
撮影:上原タカシ