4月25日(火)にKAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉にて開幕するミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』横浜公演。開幕に向けて、四季芸術センター(横浜市あざみ野)では稽古が始まりました。
1930年代のアメリカを舞台にした"ボーイ・ミーツ・ガール"のラブストーリーを、「アメリカ音楽の魂」といわれるガーシュウィン兄弟による名曲の数々と、躍動感あふれるダンスナンバーが彩る、ミュージカルの醍醐味にあふれたこの作品。
物語の中心となるのは、ダンスに夢中な銀行の跡取り息子・ボビーと、彼が差し押さえにきた田舎町の劇場の一人娘・ポリーの恋模様。そこに劇場の再建騒動と勘違いの恋がもつれ合い――。一筋縄ではいかない展開が、コミカルに、ドラマティックに描かれます。
前回公演から約8年ぶりの再演にあたり、これまでも作品に携わってきた面々に加え、初めてのメンバーも迎えた稽古場。底抜けに明るく楽しく、一方で、演者としては高度な技術を要求される本作への参加に際し、俳優たちの表情は緊張と高揚に満ちています。
全体稽古を前に、2月下旬からは歌・ダンス・台詞を中心にした準備の稽古が進められ、3月上旬には出演候補キャストが集結。稽古初日となったこの日は、台本の読み合わせが行われました。
「この作品ではどの登場人物も、人との出会いを通して、忘れかけていた"生きがい"を取り戻します。誰が、誰の言葉によって心境を変えていくのか。言葉の応酬を、ガーシュウィンの美しい音楽とともに、皆さん自身が楽しんでください」
レジデント・ディレクターを務める布施陽由の声掛けで、稽古が開始。着席していても思わず身体が揺れてしまう、心地よいガーシュウィン音楽とともに、俳優たちの歌声が響き渡ります。
読み合わせが終了すると、「すでにそれぞれの個性があって、とても面白かったです。個性を生かしつつ、言葉のやり取りを大事にできるよう、重点的に課題を伝えていきます」と布施から声が掛かります。
同じくレジデント・ディレクターの一人である西尾健治からは、これから役を深めていく上でのアドバイスを共有。「作品の大きなテーマである"本当の生きがい"と、自身の役の立ち位置が、どんな関係性にあるか。例えば、ボビーは最初から"生きがい"のど真ん中にいるキャラクターですが、アイリーンやランクは、それとは対極の立場から始まっているかもしれない。これを意識することで、役との向き合い方が、さらに明確になっていくと思います」との呼び掛けに、俳優たちは力強く頷きました。ここからさらにステージング、小返し稽古を経て、幸福感あふれる作品を立体化していきます。
横浜公演は7月22日(土)までの期間限定。8月26日(土)からは全国公演がスタートします。日本中にときめきと幸せを運ぶ、ミュージカル・コメディの決定版を、どうぞお楽しみに!