今月30日(土)に開幕する新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』。 1月から約3ヵ月におよぶ稽古に邁進してきたカンパニーは、ついに稽古場での最終日となる総稽古を迎えました。
これまでに培われてきた、俳優とクリエイターが垣根を越えて、一人ひとりが作品を創るという気概、創作意欲に満ちた温かい空気が、この日も稽古場を包みます。
演出を担う青木豪さんの「じゃあ、楽しんでいきましょう」の一言で、総稽古がスタート。
華やかなオーバーチュアが響き渡ると、そこは一気にバケモノたちの異世界・渋天街へ。
強さと品格に秀でたバケモノ界の長・宗師の継承争いを軸に、最強のバケモノ・熊徹と、彼に弟子入りすることになる人間の少年・蓮(九太)の、血のつながりを越えた絆と成長の物語が、壮大な音楽、心躍るダンス、手に汗握る戦闘シーンを伴い、熱く展開。
やがて、多くの出会いに支えられ、自らの力でとある答えにたどり着いた少年の成長を寿ぐ、この上なく爽やかなラストシーンが紡がれます。
稽古場の窓の外で満開の桜が揺れる中、劇団の歴史に新たな1ページを刻む作品が、力強い産声を上げた瞬間でした。
稽古のあと、青木さんからは総括の前に、全員へ向けてコメントが。
「本当に良い稽古だったと思います。どんな芝居を作っていても、(最終稽古の日は)卒業式に立ち会う親の気持ちだなと。役者同士が交わって関係性をつくり、物語の中で生きられるようになって、親の忠告がいらなくなる。今まさにそんな心境です。まあ、でも、劇場に行ってからも色々修正はあると思いますので、よろしくお願いします。」
作品の本質とも重なる言葉に、俳優たちも感慨深げに表情をほころばせます。
また、総稽古に立ち会った脚本・歌詞の高橋知伽江さんは、「興奮が冷めません。細田守監督の映画をもとにしつつ、劇団四季の舞台ができたなと感じました。私がやることはもう残っていないように思います。ただただ応援しています」と語り、俳優たちの背中を押しました。
カンパニーはこのあと、会場のJR東日本四季劇場[秋]へ。稽古場で磨き上げたドラマを携えて、いよいよ劇場空間で圧倒的なエンターテインメントを練り上げます。開幕の日を、どうぞお楽しみに。
(写真撮影:阿部章仁、樋口隆宏、劇団四季 ※撮影は複数日の稽古にて)