白熱する稽古場
来月4月30日(土)に東京・JR東日本四季劇場[秋]で開幕する新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』。四季芸術センターでは連日、稽古が進行中です。
1月中旬に本格的なスタートを切ると、読み合わせや振付、ステージング、シーン別の稽古を積み重ね、2月下旬には可能な限りシーンを繋げて通す「荒通し稽古」が行われました。
演出の青木豪さんから「初めての荒通しで皆さん緊張されていると思いますが、今日は不安な箇所を改めて把握するための機会。より緻密な作品に仕上げていくための、新たなスタート地点にしましょう」と声がかかり、稽古がスタート。
バケモノたちの活気あふれる世界・渋天街での祝祭感に満ちた冒頭シーンから始まり、人間とバケモノの親子が絆を育む物語が展開しました。
稽古の後には細かい課題を共有。
「皆さんで気づいたことがあればどんどん提案してみてください。コミュニケーションを取りながら、全員が自信を持てるところに行き着きたいと思います」
青木さんからの言葉に、稽古場の士気が高まります。
細田守監督がご来団
また別の日――稽古場に独特の緊張感と高揚感が漂います。この日はアニメーション映画「バケモノの子」原作者である細田守監督が四季芸術センターへご来団。齋藤優一郎プロデューサーらスタジオ地図のスタッフの方と一緒に稽古の様子を観にきてくださったのです。
日本を代表するアニメーション作家・細田守監督を拍手で迎えたカンパニー。演出の青木さんが「(緊張して)もう帰りたいくらいです(笑)」と場を和ませます。
まずは1幕の冒頭、渋天街を治める宗師が、バケモノたちの前で神への転生と、九年後に宗師の跡目を決めることを宣言するナンバーから。次期宗師の候補者である熊徹と猪王山も登場し、バケモノたちの盛り上がりは最高潮に。
「はい!」と青木さんが稽古を止めると、細田監督はじめスタジオ地図の皆さんから大きな拍手が。「もう開幕初日かと思いました」という第一声に、カンパニー一同安堵と喜びの表情があふれます。
さらにいくつかのシーンを披露。
「面白い作品が完成しつつある、という予感を感じることができました。映画から、さらに皆さん独自の表現をしていただき、ミュージカル『バケモノの子』という作品を、よりリアルで楽しいものにしていただければと思います。皆さんの力を信じています。初日にまた拝見させていただくのを楽しみにしています」
と、これ以上ない声援とともに、細田監督は稽古場を後にされました。
大きく背中を押す監督の声に、いっそう気合いが入ったカンパニー。細田監督が作品に込めた思いを引き継ぎ、新たに誕生するミュージカル『バケモノの子』、開幕に向けてカンパニーの挑戦は続きます。