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“キャッツ・ワールド”をつくりあげる、
キャッツ・シアター

キャッツ・シアターの誕生

1983年初演時の「キャッツシアター」。
西新宿のこのテントから、『キャッツ』の歴史は始まった。
撮影:山之上雅信

1983年。新宿西口のビル群の谷間に突如出現したテント。ここから『キャッツ』の歴史が始まりました。

当時、日本の演劇界では劇場を1ヵ月単位で借りて舞台を上演するのが通例。ひとつの舞台を上演するのは長くても3ヵ月。ロングランという概念すらありませんでした。
一方、当時のアメリカ・ブロードウェイやイギリス・ウェストエンドのメガミュージカルはロングランが前提。『キャッツ』もその例に漏れず、大規模な製作費が投じられ、成功を収めていました。

圧倒的なスケールを誇る『キャッツ』を日本で上演し、成功させるためには、ロングランが絶対条件。そこで四季は、当時再開発が進められていた東京・新宿に、『キャッツ』のための専用劇場を建設するという、かつてない壮大なプロジェクトに挑んだのです。

1983年11月11日、“キャッツ・シアター”が誕生すると同時に、この日は日本のミュージカル界に新たな夜明けを告げる日となったのです。

一歩足を踏み入れれば、そこは“キャッツ・ワールド”――舞台は都会のゴミ捨て場

『キャッツ』の魅力。その一つに、舞台と客席とが一体化した劇場構造そのものが挙げられます。無数のゴミのオブジェに埋もれた舞台と客席。一歩足を踏み入れると、そこには猫の世界が広がります。

物語の舞台は都会のゴミ捨て場。舞台はもちろん客席に至るまで、猫の視線に合わせて約3~5倍の大きさで作られた巨大なゴミのオブジェの数々が設置されています。
例えば、空き缶は高さ36センチのジャンボサイズ。場内を飾る“ゴミ”は数千個に及び、中には、旧型携帯電話や流行したゲーム機といった時代の移ろいを感じさせる“ゴミ”や、その公演地ならではの“ご当地ゴミ“も。

これまでの公演では、札幌は木彫りの熊やジンギスカン鍋、東京はかみなりおこしや人形焼、横浜は崎陽軒のシウマイの弁当箱、大阪はたこ焼き器や阪神タイガースのマグカップなどが飾られていました。
公演地を表す特色豊かなゴミのオブジェにもぜひご注目を。

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