『ウェストサイド物語』は、1957年9月26日にブロードウェイのウィンターガーデン劇場で初演の幕を開け、社会的なテーマを持ったミュージカルとして、アメリカ演劇界に大きな反響を巻き起こしました。
1961年には映画版が公開されるに至り、その年のアカデミー賞10部門(監督、助演男優、助演女優など)受賞という快挙を成し遂げています。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台設定をニューヨークに移し、人種が違うことで差別と偏見の壁に囲まれ、社会から爪弾きにされる若者たちの二つのグループの対立の中から、トニーとマリアの悲しい恋物語を浮かび上がらせる秀逸なドラマ展開。
ドラマと溶け合ったその完璧な振付けによる、ダイナミックでエネルギッシュなダンス。
数々の珠玉のナンバー「マリア」「トゥナイト」「アメリカ」「サムホェア」など、高度な技法を駆使して緻密に構成されながらもメロディアスな音楽。
振付・演出のジェローム・ロビンス、音楽のレナード・バーンスタイン、そして台本のアーサー・ロレンツががっぷり組んで作り上げた完成度の高いこの作品は、上演の度に色褪せることのない感動を呼んできたのです。
劇団四季での初演は1974年。
劇団四季のミュージカルが大きく飛躍するターニングポイントとなった作品と言えます。
当時、ボブ・アーディティという、ジェローム・ロビンスの弟子が来日、2ヶ月にわたり、ダンスの猛特訓が続きました。この特訓こそが、四季のダンス力を飛躍的に高め、俳優たちを着実に育てていくことになったのです。
その後、劇団の大切なレパートリーとして幾度となく上演を繰り返しました。ロビンスのスタイルと魂は、今でも劇団の血流に流れています。
『ウェストサイド物語』はミュージカルを愛する全ての人々の感動の原点と言っても過言ではありません。
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