ある日、精神科医マーティン・ダイサートは、家裁判事から「少年を1人引き受けてくれないか」と依頼されます。少年の名はアラン・ストラング。
その少年が6頭の馬の目をつぶすという奇怪な事件を引き起こしたと言うのです。
翌日、ダイサートのもとに連れてこられた17歳の少年アラン。彼はダイサートの質問にまったく答えようとせず、ただコマーシャルソングを歌い続け、拒絶するのでした。
アランの心理の深層を突き止めようと、執拗に、また時には突き放すように対峙するダイサート。
一方、アランの母親や父親、彼が働いていた厩舎の経営者からの話をつなぎ合わせ、アランを取り囲む状況が次第に明らかになってゆきます。
宗教に反対する父親、息子をただ溺愛する母親。両親の間に根付く矛盾、彼らの抑圧からアランの精神状態は不安定になっていたのです。
アランにとって馬は、幼い頃の経験から畏敬・信仰の対象であり、「神」にも等しい存在となっていたはず。
一体なぜ、その馬の目を突くような「異常な」行動に出たのか・・・?
アランは、ダイサートが自分の質問に答えるのなら、自分もダイサートの質問に答えても良いという条件を出します。
会話が進むうち、アランは初めて馬を意識した幼い頃の話を始めました。
事件の鍵を握っている年上の女性ジルとの出会い――。
少しずつ心を開きかけていたアランですが、彼女に関することになると、とたんに質問を受け付けなくなります。
再び心を閉ざした彼は逆にダイサートへ厳しい質問を投げかけます。
ダイサートもまた、孤独な人間でした。
自身の問題に心の内奥では気づいていたものの、精神科医という立場上、それに直面することを避けてきました。
最後の戦いに臨む決心をしたダイサートは、アランの心の謎を一つひとつ解いていきます。
しかし、アランを苦悩から解き放つ過程で、ダイサートの心には大きな疑問が生じるようになります。
事件の真相が明らかになったとき、ダイサートの胸に去来するものとはいったい・・・?
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