演劇の創作現場から――『恋におちたシェイクスピア』製作レポート【衣裳篇】

東京・自由劇場での初演に向けて、創作が進む新作ストレートプレイ『恋におちたシェイクスピア』。開幕まで間近に迫った6月、劇団四季の拠点・四季芸術センター(横浜市あざみ野)には、イタリアで新規製作した衣裳が続々と到着。稽古の合い間をぬって、衣裳のフィッティングが行われています。

衣裳のプランニングが始まったのは昨年秋。この舞台には、エリザベス女王や上流階級の貴族から、中流階級、庶民まで、さまざまな身分の人たちが登場します。身にまとう衣服は、身分や生活をあらわす重要なアイテム。また、「16世紀当時のヨーロッパの世界観をしっかり表現したい」という衣裳スタッフの意向により、製作はイタリア・ミラノを拠点に、数多くの舞台衣裳を手掛けているレッラ・ディアッツさんにオーダーすることになりました。

デザイナーのディアッツさんや、演出・青木豪さんとの打ち合わせを重ねて決定したデザインは、時代考証を大事にし、当時のロンドンの流行などが取り入れられています。
美しくクラシカルな印象を漂わせながら、舞台演出としての視覚的な効果が散りばめられた衣裳の数々。
例えば、劇中劇『ロミオとジュリエット』の場面では、対立するモンタギュー家とキャプレット家を、「視覚的にも対立構造がわかるようにしたい」という青木さんのリクエストによって、衣裳を青系と赤系で分けることに。
また、貴族など上流階級のキャラクターは強くあざやかな色が、一方、中流階級の人々にはややくすみのあるアースカラーが用いられており色彩で階級が効果的に表現されています。

フィッティングを終えたあとは、衣裳をつけての稽古も始まります。
着々と仕上がっていく、新作劇『恋におちたシェイクスピア』。6月22日(金)、東京・自由劇場での開幕まで、どうぞお楽しみに!

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※『恋におちたシェイクスピア』は、東京公演(6月22日(金)~8月26日(日))、京都公演(9月7日(金)~30日(日))のあと、10月・東京公演(再演)、12月・福岡公演が予定されています。

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    ウィル(シェイクスピア)のフィッティングの様子。中流階級の衣裳はアースカラーで統一されますが、主人公であるウィルはそのなかでも際立つブルーの衣裳

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    ジャケットの素材はダチョウの革。素材へのこだわりが、趣を演出します。また、劇中に早替えがあるウィル。スタッフと相談しながら、衣裳に工夫を加えていきます

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    資産家の娘・ヴァイオラのフィッティング。華やかさと落ち着きを兼ね合わせたドレスです

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    ギャザーの入ったスタンドカラー(立ち襟)からは、気品が漂ってきます。また、襟の布地にも、金色の細かな刺繍が……

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    赤が印象的な貴族・ウェセックス卿の衣裳。金箔が貼られた生地やブレードが、豪華さを際立たせます

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    剣のベルト位置を調整するため、ファイト・ディレクター 新美智士と小道具スタッフもフィッティングに参加

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    劇作家マーロウの衣裳。ジャケットには「スラッシュ」と呼ばれる斜めに切り込みが入れられたデザインが。これはエリザベス朝時代、実際にイギリスで流行したファッションなのだとか

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    肩の袖が切り離されたデザインも、当時の流行を取り入れたもの

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    デザイナーのレッラ・ディアッツさんが描いた、衣裳のデザイン画