ここは東北地方の湯の花村。豊かな自然に抱かれ、大人も子どもものびのびと暮らしています。
父を亡くした水島勇太は東京から母の実家のあるこの村に引っ越してきました。
都会で育ち、東北弁ではない言葉を話す勇太に村の子どもたちは興味津々。
「モヤシっ子のユタ」と呼んでちょっかいを出します。でも人見知りのユタは村の子どもたちとどうやって接すれば良いのかわかりません。
なかなか心を開かないユタにしびれをきらし、村の子どもたちは次第にユタをいじめるように…。
ユタの味方になってくれるのは、寅吉じいさんと心優しい小夜子だけ。悩んだユタは「死んでしまいたい」と考えるようになります。
ある日、村の子どもたちがよってたかってユタをいじめていると不思議なことが起こります。気がついたらいじめっ子の手からするっと抜け出せたり、何もしていないのにいじめっ子たちが痛い目にあってしまうのです。
どうやらそれは東北地方で語り継がれている子供の精霊「座敷わらし」の仕業らしいのです。座敷わらしに会ってみたくなったユタは、言い伝えどおり満月の晩に大黒柱のある旧家“銀林荘”の離れに一人で泊まる決心をしました。
「こわくなんかないぞ」と自分をふるい立たせて一人で寝ていると、部屋のあちこちから不思議な姿をした座敷わらしたちが出てきました。
ユタは嬉しくなって座敷わらしたちといろんな話をします。でもそれは決して楽しい話ばかりではありませんでした。大飢饉の時に「間引き」された赤ん坊、生きたくても生きられなかった子どもの魂が座敷わらしとなったというのです。
そんなわらしたちは「生きているだけで素晴らしいんだ」ということをユタに伝えようとします。
5人の仲間ができたことで、ユタの気持ちに少しずつ変化がおこりはじめます。そして座敷わらしたちの知恵のおかげで村の子どもたちも少しだけ心を開いてくれるようになりました。
とはいっても、相変わらず「モヤシっ子」なユタ。
「ぼくなんかダメだ。一人じゃ何もできない」と弱音を吐くユタを座敷わらしたちは本気で叱ります。
「せっかくもらった生命は自分で磨きをかけなければ石ころと同じだ。本当に生きてるってことにはならねえ!」
ユタは体をきたえる決心をし、座敷わらしたちに特訓をお願いします。大自然の中での体力づくりがスタートしました。
はじめのうちは何をやっても失敗ばかり。頑張る決心をしたはずなのに逃げ出そうとしたり泣いてしまうこともありました。
でも今のユタには励ましてくれる仲間がいます。
座敷わらしという素敵な仲間たちに見守られ、ユタの心と体はだんだん強くなっていきます。
何度も転び、倒れながらも必死でついていくユタ。いよいよ村の子どもたちと本気で向き合うときがきました。
ユタは村の子どもたちと仲良くなることができるのでしょうか?
不思議な仲間たちはずっとユタのそばにいてくれるのでしょうか?
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