劇団四季

夢から醒めた夢

Introduction

夢の配達人が
あなたに「夢」をお届けします

みなさんは夕べ見た夢を覚えてますか?
カラーだったりモノクロだったり、香りもあれば味もある、そしてどこへでも好きなところへ行けてしまう...そんな希望にあふれる夢から悲しい夢、思わず笑ってしまう夢、毎日みる夢は尽きません。この作品はそんな夢の一つを一人の少女、ピコが冒険するお話。
ちょっとだけ幽霊の世界をのぞいてみたい、なんて好奇心旺盛なピコは夜の遊園地で幽霊の少女マコに出会います。
「ホ、ホンモノ?」驚くピコに、マコは一日だけ自分と入れ替わってほしいと言うのです。突然の交通事故で命を落とした彼女は、嘆き悲しむ母親に一目会ってお別れが言いたい。そのために入れ替わってくれる人を探してさまよっていたのでした。
身につまされるマコの話しを聞いたピコは、マコへの友情、そして好奇心もあってマコの願いを聞き入れます。こうして一日だけ、という約束のもと、ピコの冒険は始まるのです。

赤川次郎と劇団四季の出会いから創られたこの『夢から醒めた夢』は1987年に「ニッセイ名作劇場」として、また翌1988年には子供から大人まで楽しめる一般公演として上演されました。以降、全国各地で上演を重ね、多くの人びとに感動を与える劇団四季オリジナルミュージカルの代表作となっています。

Story

こんなに大きな優しさに
触れたことがありますか?

好奇心旺盛で元気な少女ピコは夢の配達人に導かれるまま閉園後の遊園地に入り、そこで幽霊の少女マコと知り合います。
交通事故で命を落としてしまった心優しいマコ。娘の死から立ち直れずにいる母親を慰めお別れを言うために、一日入れ代わってくれる人を探して夜の遊園地をさまよっていたのです。不思議なことにあこがれるピコは、マコの願いを聞き入れて代わりに霊界へ行くことを決めます。

霊界空港の待合室では新任の役人デビルとエンジェルら空港職員が働いています。“光の国”行きロケットに乗ることが許されているのは、真っ白のパスポートを持ったもののみ。遅れてくる妻を12年間待ち続けている老人や、災害や戦争の犠牲になって死んだ子どもだちがその日を待ちわびています。

いじめを苦にして自殺したメソ、家族を顧みないで過労死した部長、バイク事故で恋人もろとも死んだ暴走族、ケンカで刺し殺されたヤクザは、生前に罪を犯したり人を悲しませたためにグレーのパスポートしかもらえず、働きながら罪の汚れが洗い流されるのを待っていました。
明日は年に一度の“光の国”行きロケット707便が出発する日。マコから預かった白いパスポートが入ったバックをメソに預けて、ピコは707便ロケットを見に行きます。
待合室に戻ってきたピコは、メソに預けていたバックを部長から受け取ります。パスポートを取り出すものの、いつの間にかグレーから真っ黒に...。マコが地獄に堕ちてしまうと思い込んだピコはショックで気絶してしまいます。

ピコは人間界へ戻ることができるのでしょうか?マコは無事に“光の国”へ旅立つことができるのでしょうか?