ロイド=ウェバー作品紹介

『ジーザス・クライスト=スーパースター』

世界初演 1971年/劇団四季初演 1973年

キリストが十字架にかけられるまでの最後の7日間をロックの旋律で綴るミュージカル。従来の神格化された像を覆し、一人の人間として苦悩するキリストを赤裸々に描いたことで演劇界に衝撃を与え、当時23歳のロイド=ウェバーが世界から注目されるきっかけとなった。

ロイド=ウェバーにとっては2作目のミュージカルで、劇団四季にとっては彼の作品を上演したのは本作が初めて。

劇団四季ではこれまでに、歌舞伎の隈取り風メイク、白い傾斜舞台と5台の大八車を組み合わせた装置、邦楽器を使った音楽など、日本の様式美を全面に出した「ジャポネスク・バージョン」と、急傾斜の舞台を使ってシンプルにイスラエルの荒野を再現した「エルサレム・バージョン」を上演。

『エビータ』

世界初演 1978年/劇団四季初演 1982年

貧しい家に生まれながら、美貌と才覚を武器にアルゼンチン大統領夫人にまで上り詰め、33歳の若さで世を去った実在の人物、エバ・ペロンの半生を描いた作品。クラシック、ラテン系のルンバやサンバ、さらにロック、ポップス、宗教音楽など様々なジャンルの音楽が、エバの数奇な運命をドラマティックに彩っている。

劇団四季では、各国で上演されていたハロルド・プリンスのオリジナル演出版ではなく、浅利慶太による独自の演出で上演。浅利は、エビータの人生への向き合い方そのものに注目。祈りや情熱にあふれ、自分の想いに純粋に生きた彼女の姿を、華やかに、時に冷徹にシニカルに描くことにより、単なる評伝劇やサクセスストーリーに留まらない重厚な人間ドラマを構築した。

『キャッツ』

世界初演 1981年/劇団四季初演 1983年

満月が輝く夜、都会のゴミ捨て場で、年に一度の猫たちの舞踏会が開かれる。天上に昇り再生を許されるただ一匹に選ばれるのは誰なのか――24匹の誇り高く個性豊かなジェリクルキャッツたちが、自らの生き方を披露する。

詩人T・S・エリオットが子どもたちのために編んだ詩集「ポッサムおじさんの猫とつき合う法」を基に、ロイド=ウェバーが作曲し創作されたミュージカル。

劇団四季の初演は、東京・西新宿のキャッツ・シアターにて。仮設専用劇場の建設で、年単位のロングラン公演が可能に。同時に東京以外の各都市での長期公演も実現した。総上演回数は1万回を超える。現在はキャナルシティ劇場(福岡・博多)で上演中。

『オペラ座の怪人』

世界初演 1986年/劇団四季初演 1988年

19世紀中頃のパリ・オペラ座を舞台に描かれる、仮面で顔を隠して劇場地下に潜む怪人と、美しい声を持つ歌姫クリスティーヌ、そして彼女の幼なじみの子爵ラウルによる愛憎渦巻く物語。ガストン・ルルーの怪奇小説を、優美で重厚なロイド=ウェバーの音楽が、切なくも美しいラブストーリーに生まれ変わらせた。劇中劇として3つのオペラが登場するなど、自身のクラシックの素養も生かしたロイド=ウェバーの代表作の一つ。

劇団四季では初演以降、各地で継続的に上演を重ね、現在は清水建設ミュージカルシアターJR東日本四季劇場[秋](東京・竹芝)で上演中。

『アスペクツ オブ ラブ』

世界初演 1989年/劇団四季初演 1992年

英国の作家デビッド・ガーネットによる同名小説のミュージカル化。3世代5人の男女による、17年間に及ぶ複雑な恋愛模様を描く。ロイド=ウェバーの洗練されたナンバーの数々が、多彩な登場人物の心情を巧みに表現している。

劇団四季では、浅利慶太のオリジナル演出により、東京・青山劇場で初演。恋愛ゲームを楽しむ大人ではなく、若者の純粋な愛と挫折に焦点を当てたことで、瑞々しい青春ドラマとなっている。

『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』

世界初演 1968年(コンサート)

ロイド=ウェバーのデビュー作にして、世界でもっとも愛されているミュージカルのひとつ。作詞家ティム・ライスと初めてタッグを組んだ作品。1968年、学校のコンサートのために短編として書かれ、再演と改訂が重ねられ、現在の上演内容にまで進化。ロンドンやニューヨークでの劇場公演をはじめ、世界80カ国以上で上演されている。

内容は、旧約聖書「創世記」の一部がベースに。12人兄弟の11番目として生まれた主人公ヨセフは、父親にかわいがられ、このうえなく美しくカラフルなコートをもらうが、兄弟たちにねたまれ、旅商人に売り飛ばされてしまう。奴隷となったヨセフはエジプトに渡り、命の危機に直面するが、「夢を読み解く」という力と、持ち前の明るさと誠実さで、運命を切り開いていく。

『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』

世界初演 1979年

『ヨセフ~』の成功以降、『ジーザス・クライスト=スーパースター』『エビータ』と次々話題作を発表したロイド=ウェバー。『エビータ』のリハーサル中のニューヨークで、『テル・ミー・オン・ア・サンデー』が初めて作曲されたという。作詞はドン・ブラック。女性のソロ・ミュージカルで、若きロイド=ウェバーの意欲作といえる。

物語は、イギリス人のエマがデザイナーをめざし、ニューヨークにやってくるところから始まる。彼女は成功や人との出会い、そして愛を求めて新たな人生に意気揚々と踏み出すが、大都会の中で不安や挫折、いくつかの恋の終わりを経験して揺れ動き、自分の人生を見つめ直していく。

『サンセット大通り』

世界初演 1993年

『キャッツ』『オペラ座の怪人』が世界的な大ヒットとなり、『アスペクツ オブ ラブ』に次いで発表されたのが本作。ビリー・ワイルダーの同名映画が原作で、作品名はハリウッドに実際にある大通りの名前による。タイトルが象徴するように、映画業界の光と闇を描いている。

豪邸のプールに、若い男の死体が浮かび、彼は自らの死の真相を語り出す。屋敷に住むのは、かつてサイレント映画で人気の絶頂にあったが、今は閉じこもって暮らす大女優・ノーマ。借金取りに追われ屋敷に飛び込んできた脚本家の青年・ジョーと出会った彼女は、ジョーに自分の映画のシナリオの直しを依頼する。引き受けるジョーだったが、次第にノーマは彼に執着し、私生活までも束縛するように。やがて残酷な事実が暴かれ、悲劇が起こる。

『ラブ・ネバー・ダイ』

世界初演 2010年

『オペラ座の怪人』の続編として発表されたミュージカル。ロンドンで初演されたのち、2011年には改訂されたバージョンがオーストラリアで上演された。

物語は、『オペラ座の怪人』の10年後。舞台はパリ・オペラ座から、ニューヨークへ。ファントムは、新天地で経営者としての地位を築き上げていた。一方で、オペラ座のプリマ・ドンナとして成功していたクリスティーヌは、夫・ラウルが抱えてしまった借金を返済するため、ニューヨークでのコンサートに出演することに。再び二人の運命が交錯し、ファントムはクリスティーヌにもう一度自分の書いた曲を歌うことを求める。歌わないと、クリスティーヌの子ども・グスタフを消す、というが......。

舞台がアメリカに移ったことで、ロック調の曲が取り入れられる一方、優美なメロディーも健在している。

『スクール・オブ・ロック』

世界初演 2015年

原作は、ジャック・ブラックが主演し大人気となった同名映画。ミュージカルは2015年にブロードウェイで、翌年にはロンドンで開幕し、こちらも人気を博している。

ロックバンドのギタリスト・デューイは、心からロックを愛しているが、それゆえに自分のバンド内で浮いてしまい、クビになってしまう。そんな折、ひょんなことから名門私立小学校の教師として就職することになる。彼が教えるのは、厳格な規則の中で、無気力、無個性な毎日を過ごす子どもたち。しかし彼らにロックの才能があることを見抜いたデューイは、クラス全員でバンドを組み、バンドバトルに出場するという破天荒なことを思いつく。

解放的なロック音楽と、子どもたちの楽器の演奏能力の高さも見どころの一つ。

※写真はこれまでの上演舞台より。今回のコンサートの演出とは異なります。