祖国反逆者の裁きの場で——
第二次世界大戦直後の中国——「殺せ! 漢奸、裏切り者を」という民衆の声が響きます。
戦争中に敵国日本に協力した漢奸(祖国反逆者)を弾劾する裁判が開かれているのです。
被告席に立つのは、美貌の女優<李香蘭>。
日本語、中国語を流暢に話し、歌う映画女優として満洲映画協会で活躍した香蘭は、
日本の宣伝工作に加担した裏切り者としてその罪を問われることになります。
検察官が死刑を求刑したその時、李香蘭は驚くべき告白をします。
「私は中国人ではありません。日本人なんです」
日本人であれば「祖国反逆」の罪に問うことは出来ない——
人々が困惑する中、日本人「山口淑子」がどのようにして
希代の歌姫<李香蘭>になったのか、その半生が語られてゆきます。