はじめに

『ジョン万次郎の夢』は、江戸時代の末期に実在した人物で、日本人ではじめてアメリカに渡ったといわれている中浜万次郎の半生を描いたミュージカルです。

土佐の漁村に生まれ、漁にでた14歳の万次郎は、嵐によって遭難(そうなん)。無人島にたどり着いた万次郎たちを助けてくれたのは、偶然通りかかったアメリカの捕鯨船(ほげいせん)でした。その船のアメリカ人船長との出会いが、のちの彼の運命を大きく動かすことに――。

船長とともにアメリカの地に降り立ち、英語を学び、進んだ文化を目の当たりにした万次郎。もち前の好奇心と、あきらめない心、そして彼の行動力は、鎖国(さこく)によって閉ざされた日本の扉を世界に開き、やがて日本とアメリカのかけ橋となるのです。

壮大でロマンあふれるこの物語は、実際の万次郎の身に降りかかったできごと。
そんな彼の姿は、今を生きる私たちに、「相手を信じて理解する心」「困難に立ち向かう勇気」を教えてくれます。