現在、公演の予定はございません。
「舞台を通して生きる喜びをお客様にお伝えしたい」という理念のもと、
2021年創立68周年を迎える劇団四季。
その首都圏のあたらしい拠点・JR東日本四季劇場[春]の、
オープニングを飾った注目の開場記念作品。
かつて誰も経験したことのない、この困難な時代をのりきる活力と、
明日への架け橋になりたいという強い思いをこめて創られたオリジナル新作ショウです。
お客様と劇団と時代の「これまで」と「これから」を、
珠玉の四季ナンバーとともに華やかにつむぎだします。
全国のお客様と感動を分かち合える喜びを胸に、劇団四季が持てる力のすべてをつくして、
歌って踊って語る圧巻のエンターテインメント。
伝統と革新、東西文化の融合、日本演劇の新たな地点をめざす、
希望にあふれた新作ショウをぜひお見逃しなく。
本作で重要な役割を果たす一編の詩、その名は「ハングリー・キャッツ」。
1983年、ミュージカル『キャッツ』の初演プログラムに掲載されました。
劇団創立メンバー10人の演劇に対する高い志が、
ミュージカル『キャッツ』の世界観になぞらえて美しい言葉でうたわれ、
劇団が創立された1953年から30年間の四季の様子を深く感じ取ることができます。
詩は、詩人の故・吉原幸子さんの手によるもの。
一時期、四季にも在籍し、ジャン・アヌイ作「愛の条件ーオルフェとユリディス」(1956年)では主演を務められました。
『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』では、この「ハングリー・キャッツ」が、劇中に印象的に織り込まれています。
「演劇人として劇場で生き、多くのお客様に演劇の感動をお届けする」―
その信念が、詩の朗誦を通して、確かに浮かび上がってくるのです。
地球の大火事がおさまって八つめの春
ニッポン国はトウキョウ森の
やっと芽をふきはじめた焼け跡に
十匹の 若い猫たちが集まっていた
やせて 毛並みもよごれていたが
それぞれに由緒正しいノラ猫だった
(貴公子の憂愁を漂わせながら
狙った獲物は決して逃がさぬアッサリーケ
よくひびくバリトンと鼻母音が自慢
こわもて 実はロマンチストのミーズィー
ジューヴェばりの眉を考え深げにひそめ
みんなの言い分をとりまとめるクサック
ひまわりのあたたかいほほえみに
駄々っ子たちを包みこむフージョリー そして……)
かすかな月の光をうけて
その瞳は青に 金いろに らんらんと輝いていた
かれらの幼いころ 森をのし歩いていたオオカミ連は
ある日 こそこそと姿を消したが
代わってのさばりはじめたのも
よく見れば うさんくさいキツネたちばかり
だからかれらは
たった一匹の兄貴猫をしか信じなかった
その〝ジェリクル〟も世を去ったあとは
じぶんたちの脚で 爪で 切り拓かねばならなかった
月への道を――
みんな 飢えていた
お腹が空いていたのではない
(いいえ お腹も空いてはいたが)
それ以上に 目が 耳が 心が
からだ中の血が 飢えていたのだ
ほんとうのことば
ほんとうの声
ほんとうの音
ほんとうの色とかたち で
築かれる 大いなる幻
鳴りひびく 大交響楽
まるごとの月に!
夢の柱は 猫たちの頭上にそそり立っていた
烈しく 高く
槍にかこまれて立つジャンヌの火刑台よりも
魔術師の呼びだすトロイの木馬よりも
少女の笑い声につれて噴きあがる水の
きらめきよりも遠く するどく
みんな 貧しかった
電車賃がなければどこまでも歩き
食べるものを減らして本を読み 音楽を聴き
ある猫は 納豆をツトのすき間からかき出して
ショウユもつけずもそもそと頬ばりながら
アンチゴーヌのように〈否!〉と首をふり
オルフェのように無器用に悩み
オンディーヌのようにハダカ一貫
あれが 猫たちの青春だった
まだ力弱い牙や爪を研ぐための
日々の きびしい稽古のあとは
シンジュク横丁の 油臭い二階に上って
ギョウザの小さな三日月をかじり
いちばん安いパイカルをすすりながら
全円の月を 熱っぽく語り合った
そう ケンカもあり 恋もあった
〈裏庭で啼いている一匹の犬がいる限り
決して幸せにはなれないの……〉
あれが 猫たちの青春だった
――そうして いくつもの春がめぐった
同じ夢もつ仲間が加わり
若い猫たちが慕い寄り
ノラたちは今や ねぐらを持ち 城を築いた
緑しげる森に その白い尖塔はひときわまぶしい
何匹かは途中で仆れたけれど
新しく生まれた仔猫たちは 柔らかな毛をなびかせて
まず木にのぼる 柱にのぼる 塔にのぼる
月に挑んで しなやかに跳ぶ
かれらは ついに辿りついたか?
〈否〉 と〝ジェリクル〟は言うだろう
猫たちは――ぼくたちは
相変わらず飢えている と
得たものをいつも次の夢に賭け
こわしながら築き 築きながらこわすからこそ
幻の塔は 果てしなく高く
月への道は 果てしなく遠い
だから 猫たちは
永遠に青春なのだ と
作曲/宮﨑 誠
作/吉原幸子
作/ジャン・アヌイ 訳/鬼頭哲人
作/ジャン・ジロドゥ 訳/米村あきら
作詞/岩谷時子 作曲/諸井 誠
振付/松島勇気
台本/浅利慶太、奈良和江
作詞/奈良和江、浅利慶太 作曲/三木たかし
振付/松島勇気
作詞/長田育恵 作曲/河野 伸
振付/松島勇気
作詞/ティム・ライス 作曲/アラン・メンケン
日本語歌詞/高橋知伽江
振付/松島勇気
作詞/ハワード・アッシュマン 作曲/アラン・メンケン
日本語歌詞/藤川和彦 編曲/宮﨑 誠 ヴォーカル編曲/浪江暢子
振付/松島勇気
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