全国各地で様々な舞台を上演している劇団四季。多い時には13のカンパニーが同じ日に公演することも。長期間に及ぶ公演を支えるためには、継続的なキャストの育成が欠かせません。稽古を積み重ね、晴れて初日を迎えたその後も、稽古場ではダブル・トリプルで配役されているキャストの育成が続きます。
その役割を担う存在が、「演出スーパーバイザー」。作品について深い理解を持ち、ダンス、歌唱、演技と多方面から俳優を指導。稽古をリードします。
5月某日、横浜市・あざみ野にある四季芸術センターでは、名古屋で好評上演中の『オペラ座の怪人』と、札幌で開幕したばかりの『ウィキッド』の稽古が行われていました。両作品の演出スーパーバイザーを務めるのは、出演者としても長く関わってきた北澤裕輔。その多忙な一日を追いました。
初役に挑戦する者と、出演経験のある者。稽古の進み方に違いはあれど、どちらも基本に立ち返りながら、役としての説得力を身体の底から練り上げる地道な作業に取り組みます。言葉への意識の持ち方から、身体への落とし込み方まで――「演出」という非常に抽象的な作業を、ときに自身の身体を使って、ときに分かり易い例えを用いて、丁寧に伝える北澤。その指導を台本に書き留めながら、反復、実践する俳優たち。一段の高みを目指して役に挑む両者の真剣な姿が、稽古場にはありました。
さらに相手役やアンサンブルキャストも交え、稽古の場はあざみ野から劇場へと移ります。これが劇団四季の日常。次なるキャストを舞台へ送り出すために、スーパーバイザーによる稽古は今日も続くのです。
彼らの日々の取り組みの結晶を、ぜひ劇場でご覧ください。